講演会:森田ゆりさん「エンパワメントと子どもの人権」

質疑

A:いろんな子が学べる個人塾を開いています。そのなかに「発達障害があるかな?」という子がいます。小さいころから父親に体罰を受けてきた子で、ピークになったとき、父親を殺してしまうかも、と話しています。私ひとりではどうにもできないので、情報を渡そうと思って、アクセスできるところを紹介しました。話を聞いていくうちに、おさまっていく感じはあって、緊急事態ではないと思うのですが、「ほんとうに困ったときは、連絡して」と言っています。そういうことでよいのかなと迷うのですが、どうでしょう?

森田:まず、情報を渡そうと思ったのは、いいステップだったと思います。そのときにかける言葉も、あなたとその子との信頼関係の強まるものがあっただろうし、よかったと思います。どれだけの時間をその子と過ごせるのかわからないですが、あなたを相談役にできればいいと思います。父親との関係において、どういうことがあったのか、話せる関係ですね。なんでも話を聞くよということを発信してればよいだろうと思います。

会場のなかでも、助言いただける方はいませんか?

B:相談をされた人が話を聞くのが一番で、相談を受けた側は、自分自身が抱え込まないように、自分が相談できる先があればいいと思います。

森田:すごくたくさんの感情を抱えていて、「どうしていいかわからないけど、なんかわかってよ」という気持ちが、そういう言葉として出ているのでしょうね。

A:ありがとうございました。実際、困ったときに、支えてくれる人たちと連携できてはいるので、ありがたいなと思っています。

森田:気持ちを聞くのは、解決のすごく重要なステップです。『気持ちの本』を出したのは十年ほど前ですが、気持ちに善い・悪いはなくて、どんな気持ちでもOK。怒ったっていい、気持ちって大事なんだというメッセージで出版しました。出版直後、手紙をもらったんですが、5通のうち3通が不登校の子からでした。「言いたかったことが書いてあった」とか、お母さんから「うちに置いていたら、子どもが勝手に読んで、それから、すごく顔つきが変わって、翌日から学校に行った」という内容でした。気持ちを言葉にしていいんだというメッセージが伝わるだけで、大きな安らぎがあったり、こわばりがとれることもあるのです。

C:元不登校の子どもの親です。子どもを保育所に入れながら働いてきました。子どもが小さいころ、私自身、赤ちゃんへの働きかけが、わからなかったんですね。子どもを寝かして、自分の好きな本を読んだりしたいのに、なんで子どもに笑いかけないといけないのかと思っていたりしました。親としてのスキルを誰からも教えてもらえなかった。生後2カ月のころ、夜中になると泣いていたんですね。1時~7時まで、ずっと。でも、どこに電話しても、誰も答えてくれなかった。どうしていいかわからないとき、親向けの研修が必要だと思います。でも、実際にはカウンセリングしかなくて、しかしカウンセリングは費用が高い。経済的にしんどくて、相談もできない人もたくさんいます。公的な機関は忙しくて、ゆっくり話を聞いてもらえない。そういうなかで、親も怒りを出せないように感じます。

森田:アサーティブ・コミュニケーションの練習が必要かなと思いますね。自分の怒りを、相手を傷つけたくないから抑え込んでしまう。アサーティブというのは、相手を傷つけずに率直に自分を表現する方法です。「わたしメッセージ」など、ちょっとした工夫、スキルがあると、ずいぶんちがうんですね。私も日本に帰ってきたときに講座など開いていますので、よかったらご参加ください。

それから、親のスキルを教えてもらえなかったということですが、あなたは忙しくて、子どもの相手をしていなかったという記憶を語られているけれども、たぶん、ニコニコ笑いかけていたこともあったと思います。記憶って、自分が取り出したいことだけを取り出すものです。もっとできていたかもしれないですよ。

D:フリースクールを主宰しています。私もフリースクールをやっていて、体罰で学校に行けなくなった子が3人います。自分が受けたわけではなくても、友だちが受けていて、という子もいる。アメリカの体罰をめぐる状況を教えてください。

森田:アメリカでは法律で禁止されていますので、学校でも部活でも体罰はありません。その代わり、アメリカは戦争する国で、税金の半分が軍隊に使われている国です。ブートキャンプなどに、非行した子や高校なんかで排除された子が行っています。軍隊経験をさせるんですね。体罰がほぼ容認されています。体罰について進んでいるのは、スウェーデンなどスカンジナビア諸国、EU諸国、オセアニア、あたりです。そういう国々は家庭のなかの体罰も禁止しているし、法律でも親であっても許されないと明記されています。スウェーデンでは79年に法律ができてから、劇的に体罰が減りました。60年代までは親が子どもに鞭をうつのが当たり前だった国なのに、法律を制定したことで、非行やDVも減少しています。

日本では、学校教育法、民法で子どもへの懲戒権を認めてきました。少し改正されて、2012年1月に施行されています。まだまだ不十分ですが……。

もともと、日本は体罰をしない国だったんですね。1930年代まで。江戸時代に日本に来たルイス・フロイスや、多くの外国人が「この国では、子どもに鞭をうつようなことを見たことない」と書いてますね。体罰史の本を読むと、明治~昭和のはじめまで、体罰はしていない。武士道でも、体罰は禁止されてるんです。人を辱めてはいけない、という理由で。体罰は身体へのダメージだけではなく、心理的なダメージも大きいです。みんなの前ではずかしめに合わせるわけですから。これは武士道に反する。体罰が広まったのは、軍国主義の中でのことです。今日の日本では、「体罰は時には必要」という考えの人が6割を占めています。時には必要ではなく、「体罰が必要な時はない」との意識に社会全体が変わった時、深刻な身体的虐待はなくなるでしょう。

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