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若者たちのゆるやかな居場所
コムニタス・フォロ

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●設立趣旨書

 なんだか、いまの世の中おかしい。モヤモヤとした不安感が、ぶあつい雲のように世界をおおっていて、まるで方向が見えない。そんなふうに感じるのは、若い人たちだけではないだろう。
 かつて、経済成長と科学の発展が無条件に信じられた時代には、人々は迷うことなく前進し、迷うことなく学校に行き、少しでもいい学校を出て、いい会社にさえ入れば、それで人生成功のように思えたのかもしれない。しかし、今やそういう「神話」は成り立たなくなった。
 未曾有の経済成長は、きらびやかな発展をもたらした一方で、あらゆるもの、あらゆる関係を「商品」に置き換えてしまった。いまや私たちの生活は、ほとんどが商品を買うことで成り立っている。働くことは、いつの間にかお金を稼ぐことと同じになったし、生きることとお金を使うことが、あたかも同じであるかのようになってしまった。お金には代えられない大切なもの、そういう領域は、どんどん痩せてしまっている。そういうなかで、私たちはモヤモヤとした不安を抱え、ピリピリと緊張しながら生きている。

 高度経済成長を経て、消費社会が当たり前のものになりはじめた1970年代半ばから、不登校の数が増加に転じる。それは、子どもの病理や家庭の育て方の問題とされ、多くの場合、個人への「指導」や「治療」によって対処されてきた。しかし、それがいかに不毛であったかは、不登校の数が、その後30年近くにわたって増え続けたことをみても明らかだろう。
 一方、これを環境や関係の問題とみたとき、子どもが拒否する学校のあり方こそが問われたし、学校を当たり前のものとしてきたオトナの常識が問い直された。もっと言えば、学校に違和を感じる人こそが、オルタナティブな道を模索し、学校とはちがった関係をつむいでくることができたとも言える。それは、けっして平坦な道ではないが、私たちがフリースクールを設立したのも、この地平に立ってのことである。

 同じ問題が、いまの「ニート」や「ひきこもり」と言われる現象にある。
 いま、働くことや生きることに悩む若い人は増えている。ひきこもりやニートも、若者の資質や親の育て方の問題として語られがちだが、問われているのは、この社会のあり方であり、オトナたちの働き方にほかならない。
 いま、多くの人が、空虚な意味や役割や評価でガンジガラメになっている。子どももオトナも、つねに「何者」かでなければならず、しかも、つねに値踏みされている。人の存在価値よりも経済価値が優先するような社会のなかで、生きている実感が希薄になって、息苦しさを覚えている人は、とても多いはずだ。ひきこもっている若い人は、そういう「視線」から逃れようとし、さまざまな問い直しをしているとも言えるだろう。
 期せずして世間の価値観とズレてしまったからこそ、逆に、この社会のあり方を問い直し、関係を再生していくチャンスにもなる。そういう関係を再生していく場こそが、切実に求められている。
 人間が値踏みされることのない、「何者」かでなくてもよい、まずはその人の存在が受けとめられる居場所。そして、その居場所をベースとして、自分の生命が感じるものを大事にしながら、自分たちが実際に生きていける社会関係へとつながっていくこと。私たちは、そういう関係をつむいでいくことを目的として、ここに、コムニタス・フォロを設立します。

2006年4月16日
特定非営利活動法人フォロ